職人

バレーで首と腰を痛めているせいで、毎日朝と夜のシャッターのポール立て、ポールはずしが結構応え出した。何故か知らないが、我が家のポールは従来のより倍くらい重たい。設計士さんが来られたついでに修繕を頼んでいたら、今日シャッター屋さんが来てくれた。大柄で柔和な職人さんは、ポールを見て補強の為についていたもう1本の支柱とでも言うべき鉄骨をきり取ることができると言った。僕はその判断は念頭になかったので驚いた。なるほど、以前の支柱はとても軽かったが、何故か今のは倍くらい太さも重さもある。どう言う理由で補強したのか知らないが、その必要性を感じたことはない。新しいものを作ることを予想していたので、彼の提案はとても善意に思えた。  支柱受けは長年の雨によって錆びて意味を為していない。それはあるその道のお客さんが2年くらい前に気がついて、新しい支柱受けをくれていた。ただそれを利用するにはコンクリートを削る道具もいるし、その後のセメントもいる。僕の不器用さではどうにもならないから諦めていたが、その支柱受けだけは何故かとっていた。それを探し出して職人に使えますかと尋ねたら、快く利用してくれた。  メガネもせずに、駐車場で大きな金属音をとどろかせながら支柱を削っていた。無駄な会話は全くしなくて、商売がいかにも下手そうだが、行き届いた気配りの結果を見せてもらった時には感動した。お願いしてもいないことを数カ所工夫を加えてくれていた。  ぼくは漢方の職人になりたいといつも思っている。薬局にだけ許可が下りている「薬局製剤」と言う薬を作る権利がある。それを有効に生かして、悩める人達の力になれれば幸せだ。市販の錠剤や粉末の漢方薬より倍くらい濃い。だからよく効く。だぼだぼのズボンに下着のシャツ。彼は汗が吹き出るような炎天下の中で決まっていた。もっとも、本人にその気はないだろうが。