反攻

 西アフリカのコートジボアールと言う国で、去年の夏ヨーロッパから持ち込まれた有毒産業廃棄物で15人が死に十万人が病院にかけこんだ。いまも汚染された土壌はそのまま残り、異臭が鼻を突くらしい。消費の恩恵にあずかった国から、消費も知らない貧困の国へゴミだけが輸出される。こんな不条理が許されていいのだろうか。まるで金持ちが食べすぎて嘔吐したものを、貧乏人が雑巾で拭いているようなものだ。こんなことが許されるのだろうか。  日本でも同じ構図は出来あがっている。東京のゴミを東京以外に持っていっている。東京に全ての機構を集中させたあおりを受けて、地方は疲弊している。出稼ぎと言う名の不安定で安価な労働力を東京に提供し、地元には就職先さえない。  何故怒らないのだろう。この仕打ちに何故反攻しないのだろう。いつまで耐えているのだろう。同じ人間なのに。長いものに巻かれてはいけない。長いものに巻かれてなんとなく生きていけた時代は過ぎた。長いものはますます長くなり、巻かれたまま生きることは困難になった。巻かれて何もかも失い、理性も、道徳も失って命まで失うようになった。  力のない人々は悲鳴を上げなければ。みんなに聞こえるように悲鳴を上げなければ。耐えれば何かが解決するほど現代の強者に慈悲の心はない。そんなもの誰にも教えられることなく成長した人々の集団だから。所詮むこう側の人間なのだ。春はどこにでもやってくるが、誰にでもやってくるとは限らない。木枯らしが自分の回りに一年中吹き荒れるとしたら、変える為に変わろうとは思わないか。