表紙

  アメリカのCannon-Albright氏らが実施した研究の解析の結果、親やきょうだいといった第一度近親者にアルツハイマー病患者が1人以上いると、自身もこの疾患を発症するリスクが1.7倍であることが分かった。第一度近親者に患者が2人以上いる場合には、このリスクは約4倍に増大し、4人以上の場合は14倍にも上っていた。また、第一度近親者と第二度近親者のいずれにもアルツハイマー病患者がいると、自身の発症リスクは2倍であり、また、第一度近親者に1人、第二度近親者に2人の罹患者がいる場合は、自身の発症リスクは21倍にまで上昇することも明らかになった。さらに、第一度近親者にアルツハイマー病患者がいなくても、第二度近親者に2人以上の患者がいると発症リスクは1.25倍であった。曽祖父母や大叔父、大叔母といった第三度近親者に2人以上の患者がいる場合でも、このリスクは1.17倍であることが示された。また、遠い親戚に患者が多ければ多いほど、自身のリスクも高まっていた。
「家族歴は、アルツハイマー病のリスクを正確に予測するための有力な情報となる。また、今回の研究から、アルツハイマー病のリスクを抱えている人は予想以上に多いことが明らかになった」とCannon-Albright氏は説明している。ただし、アルツハイマー病が死因として記録されることは少ないため、有病率は実際よりも過小評価されている可能性があるなど、研究にはいくつかの限界があるという。

 母が痴呆状態で数年を過ごした僕には衝撃的な論文だ。僕も少しは知性があると思っているし、母も聡明な人だった。ところが最も痴呆と縁遠いと思っていた母があの始末だから、僕に降り注がないとも限らない。と言うより降り注ぐ可能性が人より高いということだ。母は独りで住んでいたから、健康的な食事はしていなかった。うかつだったが、料理が好きな母にして最後のほうは近所のお店でコロッケなどすぐに食べられるものを買って食べていただけだった。およそ肉等の蛋白質は摂っていなかったと思われる。Edelmayer氏は「家族歴は変えられないが、アルツハイマー病には修正可能なリスク因子がある」と説明し、発症リスクを抑えるためには、知的な刺激による脳の活性化や定期的な運動、健康的な食事を心掛けるよう勧めている。現役で働いているときは、頭を使うことができる仕事だからまずまず1番の要件は満たしそうだが、そして朝晩ウォーキングを欠かさないから2番目もクリアしそうだが、3番目が怪しい。妻が肉をあまり食べないから、我が家には肉料理が余り登場しない。勢い炭水化物に偏ってしまっている。僕が料理を作ることがまったく出来ないから3番目の要件が僕の痴呆の可能性を左右しそうだ。
 母を見ていて、痴呆は本人にも家族にも救いではない。最期が印象の大部分を占めるから、やはり知性は保たれていたほうがいい。目を瞑れば見たくなかった、見るに忍びなかった母の顔が浮かぶ。ホームページの表紙の写真を変えることができないのは、あのすばらしい笑顔の母をいつでも思い出せるようになりたいためだ。目を瞑ればあの笑顔が浮かぶようになるまで表紙を取り替えることができない。