物質

 小児、思春期のカフェインの摂取が、タバコや酒を早期にたしなむ誘引になることが分かった。
 道理で中学生からリポビタンDの愛用者だった僕が、タバコは浪人してから、酒は大学に入ってから始めたのも頷ける。酒は運よく好きではなかったから自分のお金で買うようなことはなかったが、タバコは自分のお金で何とか買えた。今考えると恐ろしく強くて安いタバコを吸っていたが、良く体がもったものだと思う。これまた運よく止めることができたが、それは薬剤師になったことと、娯楽施設の何もない牛窓に帰ってきたことが大きく影響していると思う。
 学生時代は、カフェインとはますます依存関係になって、食事代はなくてもコーヒー代はある、学費はなくてもパチンコ代はあるなど滅茶苦茶な生活をしていたが、牛窓に帰ってからはコーヒー数杯とユンケルの混合ダブルスだ。リポビタンがユンケルへと所得とともに高級なものに移ったが、所詮カフェイン50mgの世界だ。今でも交感神経を何とか誤魔化して人並みの体力を作り出している。カフェインレスではへにゃへにゃだ。
 薬局で育ち、薬局で終わりそうだが、カフェイン様様で半世紀乗り切ってきた。これから悪者にされそうなカフェインだが、あの物質にどれだけ助けられたか。あの物質に。人ではなく。