ごめん、お宅に非があるわけでもないのに、こんなに感情が違ってしまう。この100日余り、見上げてはその熱量にため息が出ていたのに、今日など同じ西の空を見ても、恨めしく思うどころか、思わず感謝してしまいそうだ。
心地よい気温、尾根の向こうに広がる夕焼け、この景色を作り出すすべてのものに感謝だ。手前に散在する民家までも、この一つの絵画に参加している。
酷暑を生き延びた人たちと一緒に解放された感がある。到底太刀打ち出来そうにない相手には、こちらがスクラムを組んで立ち向かうしかない。そうしてみればこの夏、この国の人たちはそのテーマにおいてかなり団結し励ましあって生き延びたのではないか。
僕も薬局でのお別れ時に、いつもは「さようなら」というのだが、今年は「お互い、生き延びようね」としばしば声をかけた。僕自身にもその都度同じ言葉をかけていた。病人ではない人には「さようなら」、不調の方には「お大事に」、そんなありきたりの言葉では足りないような気がした。
やっと秋がみんなを迎えに来てくれた。西の空からきてくれた。まずは朝から、夕から。