律儀

 「あんたが二人を誘拐して、連れて行ったんじゃろう!あんたが出て行って、二人を連れて帰って!」と迫られたと、教えられたりしたものなら緊張してしまうが、笑顔で話すから、またお母さんのことだと分かる。
 いつ痴呆が完成するのだろうと、もう数年前からハラハラしているが、意外と持ちこたえている。ただ今日教えてくれたようなとんでもないことを話すことは少しずつ増えている。
 ただ、以下に話すようなこともあるから、所謂まだらボケで何とか踏みとどまっているように見える。
 お嬢さんが少しだけ出かけていた時に、テレビを見ていたお母さんがどうしてもチャンネルが変えられないと、近所の電気屋さんに駆け込んだらしい。すでに廃業しているのだが、店舗はそのままだから、気づかない人も多い。店主の人柄か、もう廃業したと冷たく告げられ、すごすごと帰って来たらしい。運良く家の前で近所の人に会ったから、チャンネルが変えられないから見て頂戴と頼んだらしい。すると原因は電源スイッチを入れていなかったと言うだけのことだったのだが、電化製品はすべてそのお店で買っていたらしいが、それを覚えていて、一人で店まで歩いて行った事実は、痴呆など感じさせない。電源スイッチを入れ忘れていたことはありとしよう。同じようなドジは僕らでもある。テレビのリモコンスイッチの故障と判断し、近所の昔利用していた電気屋さんに救いを求めて行った。至極全うだ。
 冒頭の、一人で母親の介護を担っているお嬢さんを、兄と姉二人の誘拐犯扱いにし、暴言を吐いたこととの落差が激しい。
 もう何年このお母さんに漢方薬を飲んでもらっているだろう。嘗ては必ずお嬢さんと毎週一緒に来て、漢方薬を作りお茶とお菓子でもてなした。痴呆を食い止めるために一杯くだらないことを話した。ただ純粋に治療の為だけではなく、楽しいから話したのもある。
 そのうちお嬢さんだけやって来て、漢方薬を持って帰る。お嬢さんには施設に入れる選択肢はないらしく、とても介護を頑張っているが、明るい表情しか見せないその律義さが気にかかるから、今でも接待をしお嬢さんの一瞬の脱力に役立てればと思っている。
 かつて母のあれよあれよと言う間の痴呆の進行を目撃しているから、このゆっくりさは救いでもあるが、当時の母より10歳も若いのだから、その差がこの進行のスピードの遅さに現れているのだろうかと推測する。
 なにはともあれ、お嬢さんの律儀が気になる。

小池百合子が出馬表明の記者会見で走って逃亡!マスゴミの実態明らかに・・・佐藤章さんの学歴詐称質問を誤魔化して逃亡。蓮舫立候補で、作戦ガタガタ。安冨歩元東京大学教授。一月万冊 - YouTube