補完

 直接の相談は、鉄剤を飲まなくて貧血を治してと言うことだった。鉄剤を服用するとむかむかして辛いから漢方薬でと言うことだった。鉄欠乏性貧血を鉄を使わずに改善と言う、意味の分からない要望だが決して珍しい要望ではない。まどろっこしいが、何とかなることも多い。
 この方がふと漏らした他の不快症状に驚いた。どうせ治るはずがないと思っているから相談する気もなかったのだろう、僕が他には?と尋ねたことで答えたに過ぎない。貧血よりそちらの方が辛いのではと思うが、本人は諦めているしもちろんお医者さんもプロだから分かっていて、唾液の代わりになるようなスプレーを処方してくださっているみたいだ。
 15年前に放射線で咽喉癌を治療したらしくて、その時に唾液腺が破壊されて、食事の時には一口口に食べ物を入れる度に水を飲み、流し込むらしい。その時の水が確か2リットルと言ったが、今思えば毎食2リットルか1日2リットルか確認したいところだ。いずれにせよかなりの苦労が食事の度に待ち受けていると言うことだ。
 破壊されたものが復活するはずがないが、僕は貧血の漢方薬を作る時に一緒に唾液が出るような漢方薬を飲んでみる?と提案した。自信はないが、あまりにも気の毒で、何かお役に立てれないかと思ったのだ。
 8月4日から服用してくれて、今日で2か月半くらいだろうか、漢方薬を取りに来た時に「水を飲まなくてよくなったんです」と言った。なんと唾が出だしたのだ。破壊されている腺から出だしたのか?いやいやそんなはずはない。壊れているものは治せない。となると残存していた唾液腺があったと言うことだろうか。それらが機能を高めて、破壊された組織を補っているのだろうか。
 学者でもないからいかなる答えも出せないが、ただ一つ言えることは「その方が喜んでくれている」。
 僕が作った漢方薬が普遍性を持って、他の同じように困っている方に投与して再現性があるのかどうかわからない。偶然かもしれないし、他の方にも効くのかもしれない。
 企業や研究機関なら再現性を証明するのだろうが、小さな漢方薬局だと所詮「まぐれ」
 現代の医療の99%は、現代医学に委ねるべきだが、たまに奇跡のように現代医学を補完できることもある。

フナ侍の矛盾極まる 〜岸田軍拡の地獄 浜矩子の一刀両断【山田厚史のここが聞きたい】20231016 - YouTube