呆然

 息子が以前教えてくれてことがある。家で死ぬのは大変だと。ただこれは亡くなり方のことを言っているのではなく、手続きの問題のことを教えてくれたのだ。そんなことが目と鼻の先で起こった。
 突然死に家族が気が付かなかった場合は、救急車を呼んでも仕方がない。その時には警察の職務の範疇に入るらしい。3台の警察車両が静かにやってきて、結構な時間を経て静かに帰って行った。
 予備知識のおかげで想像はついていたが、想像通りのことが起こっていたみたいで、残された家族の動揺に心が痛む。つい朝まで、その元気な姿を見ていた近所の人間にとっても青天の霹靂だが、当事者の家族にとっては、悪夢を見ているようだろう。
 仲の良いご夫婦だから問題はないのは誰にもわかるが、粛々と、いや淡々と行われる業務には同情を禁じ得ない。法律だから仕方ないのかもしれないが、秘密裏にやってもらうことはできないのかと、誰もが当事者になってしまう危険性を考えるとつい考えてしまう。
ガソリンを入れにスタンドに今朝行くと、先客とオーナーが話していた。話題は、その急死した男性のことだったが、二人の話では3人連続している。どなたも今の時代では若すぎて、亡くなる直前までは元気と言うのが共通している。一番激烈なのは、息子さんと相対して食事をしている時に亡くなった方。突然死の実像を思い知らされる。
 亡くなり方としては楽で綺麗だろうが、残された方のキャンパスが、一瞬にして白一色になる突然さに遺族は戸惑う。「どうしてこれから生活すればいいかわからない」一夜明ければ、立ったことがないスタートラインに立ち呆然とする。

 

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