知識

 「ちょっと苦くて申し訳ないのですが、〇〇と〇〇で悪玉菌を殺菌します」としばしば処方の説明の時に断るのだが、今日実際に飲んでみてそんなに苦くないことが分かった。むしろ僕には美味しくさえ感じられた。
 実はとても飲めないと言って送り返してきた方がいて、自律神経にはとても良い薬だから自分で飲んでみた。ただし、過敏性腸症候群の方に作った処方だから、僕には不要の薬がいろいろと入っていて、その中の薬が苦みを利用した薬だから冒頭のお断りをすることにしている。
 だが実際に飲んでみて、意外とおいしい。これで苦いと言って送り返し、治るチャンスを自らの手で逸する人がいるのは残念だ。そのことを妻に伝えると、ちょっと水を多めで煎じたと言って、苦くない理由を教えてくれた。そうした工夫をすれば苦くないんだと、とても参考になった。苦くて飲みづらいと言う報告はよく聞くが、その都度蜂蜜を混ぜたり、バナナジュースを混ぜたりすることを勧めるが、単純に水で薄めればよいことが分かった。これでもなお苦いと言うなら、粉薬で作るしかない。
 送り返してきた人の、その後の体調は気になるが、いい経験にもなった。ついでに実はもう一つ経験させてもらったことがある。かなりの便秘症の方の薬だったので、ウンチが腸壁を滑りやすくしてお通じを改善する薬草もたくさん入れている。便秘薬ではないからこれも経験だと思って飲んでみたのだが、これは単純に一度飲んだだけで結果が出た。朝飲んで仕事をはじめ、応援の薬剤師が都合でこれなかったので午後3時くらいまでノンストップで薬を作っていたら、なんとなく催してきた。そしてトイレにいくとかなりの「出やすさ」を体感できた。僕は本来そう言ったものが不要なタイプだから、かなり強烈だった。もともと便秘症の人には結構喜ばれるものだ。なるほどなと思うが、この薬の量には神経質にならざるを得ない。過ぎたるは及ばざるがごとしだ。
 1回飲んだだけで乱れに乱れている僕の自律神経は正常にはならないだろうが、2つの知識を得た。何でも誠実に行動していれば得られるものもあるものだ。