瓢箪から駒

 瓢箪から駒
 手伝いに来てくれている薬剤師さんが、2週間分、漢方薬を間違って作ってしまった。もったいないので1週間分ずつ分けた。
 胃腸を強くし体力を上げる漢方薬で、免疫が落ちた時のためによく使う。単なる肉体疲労でも使われるものだ。それにもう一つは、腸内の悪玉菌を殺菌する処方。面倒だから二つを同時に煎じて飲んでみた。意外や意外、甘みも感じられた。もっと正確に表現すると、苦みの中から甘みが顔を出し、その存在を強く印象付けていた。だから飲めないものではない。悪玉菌を殺菌する処方は概して苦いものが多いからこの組み合わせだと、甘味さえ感じてしまうことが驚きだった。
 そしてもっと驚いたのは、朝飲んだのに10時ころから出るわ出るわ、気持ちの良い大きなおならが。当初はなぜこんなにおならが出るのだろうと不思議に思っていたが、すぐに気が付いた。内臓の動きが活発になり、蠕動運動が盛んになったのだ。だからお腹の中にとどまっていたものが外に外に出ようと押し寄せてくる。それはそれは快感だった。気持ちの良い大きなおならが、腹筋に力を入れれば出てくれて、そのたびにお腹が引っ込む。
 自律神経の失調やうつうつ状態では気持ちの良い「幸せ!」と叫びたくなるようなおならは出ない。そうした人達に飲んでいただければ僕が感じた爽快感を感じてもらえるのではと思った。そこで同じように飲んだ薬剤師さんに「気持ちの良い大きなおならがいっぱい出たでしょう」と尋ねると、彼女は肉体疲労は取れたけれど、おならは特段増えなかったらしい。
 こうなると問題だ。確率5割では人様には勧められない。その程度では「瓢箪から困る」