狂騒曲

 2時過ぎに1分間隔くらいで2人の人がイソジンのうがい薬を買いに来た。僕は当然家族だと思ったので、「さっきご主人が買って帰りましたよ」と女性に言った。すると全く関係ないみたいで、二人とも2本ずつ買っていった。
 僕の薬局ではイソジンは処方箋で出た場合のためにおいてあって、売ると言う感覚はない。ただ言ってこられたら売るけれど、そんなに売れるものではない。だから僕は数分の間に、年間で売り上げる以上の本数を売ったことになる。もちろん4本だが。
 この体験は数か月前のマスクの時と同じだ。僕の薬局は漢方薬を作る機会が多いから生薬を吸ってしまうことが多い。結構これで鼻炎や酷い人は喘息になる。だからマスクは必須なのだが、これまた売るためには在庫していない。コロナでマスク需要が高まった時、僕の薬局にもたくさんの人が買いに来た。ただ当然自家用以外に在庫していないから、10個くらいあったのを全部売ってあげた。しめて10年分くらいの売り上げを1日でしたことになる。と言うのは1年に一人くらいは間違って僕の薬局にマスクを買いに来る人がいたから、10個も売れば10年分の売り上げだ。それと全く同じことが今日起こった。
 買いに来た人に教えてもらったのだが、ミヤネヤ?と言うアナウンサーが司会をする番組で、大阪の府知事がコロナにイソジンのうがい薬が効果があると言ったみたいだ。詳細は知らないが、何とも登場人物が不純だ。相手の話の腰をすぐ折る司会者と(僕はこれが嫌で絶対あの番組は見ない。それと汚部寄りの放送局だろう)カジノ大好き人間の知事では、怪しさ満載だ。どうせどこからか金でも舞い込んでくるに違いないと反射的に考えた。テレビ番組を使って特定の商品を紹介するなんてことがあるだろうか。公の立場の人間が。
 僕は何年も薬による、特にイソジンによるうがいを勧めたことはない。口の中の有用な菌も皆殺しにするようなものが何に対して有効なのか分からないから。風邪やインフルエンザでも使うことを今時推奨されていないものをコロナに?そもそもウイルスに対してイソジンが効果があるのか?そんな話は聞いたことがない。
 娘がさっそく「イソジンの消毒薬は在庫がありません」と入り口近くに張り紙で告知した。それでも多くの人がやってきた。あの頃の断り文句を繰り返している。いつまでこの狂騒曲は続くのか。そして今度は誰が買い占めているのか?誰が儲けるの?汚部?汚し村?