高島屋

 さすが高島屋、やっぱり高島屋、これが高島屋。  高島屋のデパ地下で何か買ってみたいと以前から思っていた。僕にとって高島屋は綺麗なトイレでしかないので、しばしば利用する1円にもならない客だ。利用するのが決まって地下にあるトイレだから、地下の食料品売り場はよく通る。そしていつかあの美味しそうなものを買って食べてみたいなと思っていた。だが、何となく買い方がわからない。量り売りみたいなものが多いのではないかと思う。手にとってこれくださいならいいが、何を何人前なんて話になると、どうも気が重いので、二の足を踏みっぱなしだった。  日曜日の夜、かの国の女性6人が帰国を前に浴衣を着たいらしくて、着せてあげる約束をしていた。その時に何かスイーツみたいなものを出してあげると喜ぶだろうなと思い、高島屋のデパ地下に寄った。スイーツだから量り売りではない。ただ買うだけだから抵抗はない。物色して買うのは好まないから、最初に目に付いたところで買うことにした。いくつかのブースがあったが、僕の目を引きつけたのはプリンだった。結構大きいガラス容器に入っていて、マンゴウから牛乳から種類も多かった。そしてどれも美味しそうだった。かの国の女性は果物が好きだからマンゴウプリンを9個、僕用に牛乳の味がするプリンを買った。  案の定、かの国の女性達はとても喜んでくれた。浴衣にプリンもよく似合っていた。全員が帰った後、我が家で一緒に暮らしているかの国の2人が、プリンの容器を洗っていて、「オトウサン、これもらえませんか?」と言った。「うん、いいよ」と言いながら洗ってすんだガラス容器を見ていると、厚くて強そうで、何よりも綺麗だった。恐らく彼女達はそれを日常使うコップにするつもりなのだろう。僕もこのくらい頑丈で綺麗だったら、お客さん用にしてもいいと思ったくらいだ。  プリンなど買ったことがないから相場は分からないが、高島屋のプリンは1個325円だった。百貨店のものは何でも高いから、相場よりは高いのではないか。中身のプリンよりガラスコップのほうが重たかったのではと思ったが、プリンも大きくて美味しかった。プリンの種類の豊富さ、美味しさ、値段の高さ、どれをとってもさすが高島屋だ。(ほとんど洗脳され状態)