アナコンダ

 アナコンダは単に映画のタイトルのためにつけられた言葉だと思っていたが、ある蛇の正式名称なのだ。こんなことを言ったら水族館に失礼かもしれないが、今日の須磨の水族館で一番衝撃的だった。  いつものコースに従って見学していたら、出口近くで「アナコンダ展」と言う案内標識を見つけた。すぐに大きな蛇についてのものだとわかった。   何となく気持ちが悪そうだったが。かの国の女性9人を連れて来ているせいで、ちょっと強気になって展示場の中に入っていった。ガラス容器とはとても表現できない、むしろ頑丈なガラスで作った部屋みたいなところにアナコンダが押し込められていた。底には水が張ってあり、アナコンダは水中にいるように見えた。水面に横たえた大きな木には、アナコンダが1匹横になっていて、その長さは5mはあったと思う。最初何があるのか理解できなかったが、木の色より一段と濃い土色が、大きな枝に巻きつくのではなく、器用に旨く乗っていた。  今パソコンでアナコンダと言う物を調べたら、水生動物らしい。道理で水が張った水槽の中で動かずにおれたはずだ。あのように静かに身を隠し獲物を狙うのだろうか。あの太さ、あの長さで、巻きつかれ、あの強靭な筋肉で締め付けられたら、人間ごときでは耐えられないだろう。窒息して飲み込まれるのが落ちだ。一体どのくらいの数が部屋の中に入れられているのだろうと思っていたら、説明書を大きな声で読むおばちゃんがいて17匹だとわかった。そう言えばあの太くて長い体は、重なったりよじれたりしてとても1匹には見えなかった。あの気持ちの悪い顔と顔が至近距離でにらみ合ってもいた。  イルカの演技もますます磨きがかかってきて、すごいなと感心しきりだが、アナコンダの衝撃でイルカの感動は薄れてしまった。こんな生き物がいるのかと、何か原始的な感動だったが、どんな行動でもよいから起こせば、遅ればせながらの貴重な体験が出来る。そうしたきっかけを作ってくれる若い異国の女性達に感謝だ。