一緒に

 僕は、これまでこんなに美しい人を見たことがあるのだろうかと自問自答しながら向かい合っていた。ゆっくりと搾り出すような言葉をひとつたりとも聞き漏らさまいと、懸命に耳を傾けた。いくら美貌に恵まれている人でも、いくら知性に恵まれている人でも、いくら経済的に恵まれている人でも、その人が負っている苦悩に比べれば取るに足らないものに思えてくる。  その人の繊細すぎる感性を解き放つ力を僕に与えて欲しい。いつか又、一緒に笑うことが出来る日々を与えて欲しい。これからの時代を生きる青年にとって、人生は苦行の連続でも、時には鳥と出会い、風と出会い、光と出会うことを知ってほしい。そして鳥と語り、風に抱かれ、光に優しく包まれて欲しい。