「3日で効果を出せなかったら怒鳴り込まれる。日本のお客さんは優しい」とは、中医(中国の漢方医)の先生の言葉らしい。ある漢方の製薬会社の社員が昔講義を聴いていた時に言われた感想らしい。さすがに3日は極端かもしれないが、僕は出来れば1週間、せめて2週間で効果を感じてもらえるように頑張ってきた。これは優しいお客さんのためではあるが、一番は僕自身のためだ。そのくらいで効果を出さなければこちらの精神が持たない。勿論医療だから確率の問題で、全く効かない事も往々にしてあるが、それでも10人相談に来てくれたら、7人は効かせたい。この確率もまた僕自身のためだ。僕自身が気を病まずに仕事が出来る最低ラインに決めている。  漢方薬の荷物を毎日姪が開けてくれるが、そしてそれぞれケースに移してくれるが、彼女が最近時々僕にそれを見せて「質が落ちてきましたね、見て、私でも分かる」と言う。本当にそうなのだ。値段が上がって、質が落ちていっている。自生しているものなど今はほとんどなく、栽培品だらけだが、それでも劣化している。それを承知で先の数字を達成しようと言うのだから、ハードルが次第に高くなる。それを乗り切る手段は、そんなにはない。量を増やして使うか、知識を磨いて切れ味を磨くかだ。前者は値上げに通じるし、後者は才能不足に阻まれる。ドラッグストアやアメリカなどが、効かせる事も出来ないのに湯水のように漢方薬を使い始めて、品薄に輪をかけている。大量生産に大量消費ならまだ何とかなるが、自然にゆだねるしかないものを少量生産で大量消費など出来るわけがない。法律には載っていないけれど、これは何の罪?