自尊心

悲しみをもって、いや怒りを感じながらでしか読むことが出来なかった。毎日新聞の朝刊の1面に載っていた文章を読んで、冷静でいろと言うほうが難しい。 「朝7時に起きて、水汲み、家の掃除、買出し、洗濯・・・夜10時になるまでずっと働いている。食事は1日に1回で、少しのパンしかもらえない。働かないとものすごく怒られる」 ハイチ地震で孤児になった13歳の男児は親戚に預けられた。学校に通わせてもらえず、朝から晩まで家事をさせられた。食事をもらえず、欲しがると電気コードや木の棒で繰り返し叩かれた。彼が一番つらいのは朝で、一緒に暮らす叔母の長女を学校に送り出すときだ。「悲しさと悔しさがこみ上げてくる。こんな生活から逃げ出したいけれど、逃げる場所もないんだ」 フランスの植民地時代の名残で白人の血が流れるムラートと呼ばれる全体の数%しかいない人種が広い土地を持ち、失業率は70%、ほとんどの人は1日100円以下で暮らしている。 独立と引き換えに100年にもわたる借金の返済を強い、独裁者の為政も度重なり、世界の最貧国に甘んじている。フランスの置き土産が今のハイチだ。えらそうなことを現代では言うが、ちょっと前までフランスもこの程度の人権意識しかなかった。列強といわれた国々の悪意の置き土産で現代どれほどの紛争が起こっているだろう。彼らに善人ぶる資格はない。 翻ってこの国もそうだ。そうどころかそのものだ。そしてそれを象徴するような程度の低い男が、陶酔状態でラリッている。早く転んでこの国を救って欲しい。10数機買う予定の「コスプレ」でどれだけの幼い子供たちの自尊心を救ってやれるだろう。もっともこんなことが分かるほど普通には育っていないだろうが。