3剤

 主な国で、統合失調症に使われる薬の種類を調べて表にしてあるのを薬の専門誌で見た。 予想通りと言えば予想通りだが、外国の治療の簡素さが際だち、日本のその種の領域が手つかずのまま、何か大切なことを欠落させたまま長年来たのではないかと思った。  2剤(2種類の薬)を飲ませる割合は日本では8割なのだが、アメリカは1割しかいない。その8割の中で3剤以上が5割だと言うから驚きだ。アメリカにはそもそも3剤などない。3剤は香港、シンガポール、フランス、ハンガリー、イタリアしかないが、香港以外は1割にも満たない。ないに等しいのだ。英国国立医療技術評価機構によると、一人の患者に抗精神病薬2剤以上または高用量で投与して効果が上がるエビデンス(根拠)はないらしい。  なんでこんなことになるのか分からない。お国柄の何がこの差を作るのか分からない。医師のお国柄か、患者のお国柄か、製薬会社のお国柄か、社会のお国柄か、あるいはその複合か。そもそも診断自体も難しそうだ。客観的な評価が難しいトラブルだろう。  どの分野でもこの国は何か進んでいる国のように思ってしまうが、実はそうではないのだ。誰かが歴史をやたら巻き戻しそうにしたがっているが、そんなことをしなくても、科学も医療も文学も哲学も、実は随分遅れているのだ。政治などその最たるものだ。どれも大したことはないのだ。もっともっと進んでいる国はいっぱいある。それを認識しないと、この国が素晴らしい国などと勘違いしてしまう。所詮、北の将軍様とまるっきり同じことをしたがっている人間にとんでもない肩書きを与えるような国でしかないのだ。  実在しない知覚情報をリアルに体験する症状(幻聴 幻視)妄想(客観的に見てあり得ないことを事実と信じ込む)誇大妄想(自らの実際より遙かに偉大だ)もうとっくに症状が出ているのではないの?東京を世界一の都市にするなんて言ってた人間もいたっけ。この人達には3剤じゃあきかん!