感謝

 いらぬお世話かもしれないが、敢えてする。いらぬお節介かもしれないが、敢えてする。恩着せがましいかもしれないが、敢えてする。  これが日本だと感じてもらえることで、自分で出来ることは何もないから、プロの人の力を借りる。これが日本だと紹介できる物に関して知識が余りにも少ないから超マンネリなのだが、僕自身も便乗して楽しみたいから、僕の好みの範囲で選択する。地方都市だから、イベントの質や数は限られてくるが、その中でやりくりするしかない。経済も時間も体力も限りがありすぎる。  前置きが長くなったが、岡山県が誇る日本的な文化の中で僕のお薦めは「備中温羅太鼓」なのだ。今日もかの国の4人、順番で連れて行っているから、最後のグループと言ってもいい人達を定期公演に連れていった。前回見つけた吉備津神社に立ち寄るコースも評判だったので、今日もその内容のツアーにした。かの国の人達にとっては、神社とお寺の区別が難しいらしくて、必ず「テヲタタキマスカ?」と尋ねられる。何を祈っているのか分からないが、頭を垂れる後ろ姿にうたれる。残してきた子供や家族の幸せ、健康で3年間を勤め上げられることなどであろうか。  驚異と言うしかないような2時間にも及ぶ太鼓との戦い。筋力か、柔軟性か、リズム感か、訓練で得たものだろうが、僕には天性のように見える。正確に力強く打ち鳴らされる太鼓に言葉の壁はない。最後まで身を乗り出し、手が痛くなるまで叩いている姿を横目で時々確認しながら、いらぬお世話、いらぬお節介に確信を持った。備中温羅太鼓のメンバーの人達に感謝。