お洒落

「岡山のヤマト薬局でお話したときに、先生は覚えてらっしゃらないかもしれないけど、先生が、私の体は病みたがりなんだよーみたいに言ったのを思い出しました。お腹がちょっと良くなったと思ったら次はどこかが悪くなるみたいな。でもわたしは、お腹の悩みほど辛いことはないと思ってるので、これからどんなことがあっても(病気とか悩みとか)耐えれるような気がするんです。なんだか話が大きくなりました。(笑)」  今日届いたメールの一部だが、思わず吹き出してしまった。数年前に他県からやって来たときには、薬局に入ってくるなり泣きだしたのに、今はこんなに成長した文章を書けるようになった。よそのお嬢さんなのに、まるで実の娘の成長を喜ぶような感覚だ。ベレー帽がとてもよく似合う子だったが、お洒落が台無しになるくらい涙を流した。何か悟りに近いような「大きな話」も彼女ならかわいく思え見守ってあげたいと思う。実は最近、過敏性腸症候群の方の治癒率がかなり高くて、僕自身も過度の緊張感から少しだけ解放されている。もっとも例によって、このトラブルの一番の特徴である「一度飲んでみる」人はまだまだ多いが、少しだけ続けてくれればかなりの確率で改善している。「どんなことがあっても耐えられる」というような言葉を、それは無駄なことは何もなかったという言葉に通じると思うが、成長の証として発してもらえる喜びを毎日のように感じている。  辛い過去から脱皮できたときの喜びの瞬間に立ち会える臨場感は、何にも代えられない喜びだ。発する言葉が次第に明るくユーモアに富んできたらその瞬間が迫ってきていることが分かる。彼女は今でもきっとお洒落で通しているのだろうが、海の向こうで笑顔が素敵なお嬢さんになってもっと輝いているのだろう。