視力検査

 今日、僕の漢方の先生が、その地域で嘗て90軒あった薬局が今では僅か10軒になったと言われていた。それに代わって門前薬局やドラッグストアが幅を利かせている。嘗てのような街の何でも屋さんが減ってしまったって事だ。 大都会に立地している先生の薬局とは正反対の地域にある薬局にそれの割合を適用すると、牛窓なんかにまだ薬局が存在していること自体が数学的でない。となると僕の薬局の存在はほとんど文学の世界か。ハンディーを抱えた薬剤師の苦悩を描いているのか、それとも一隅を照らすことに喜びを見出した薬剤師の一代記か。  僕は今生き残っている薬局は、自然治癒力を増すことが出来る唯一の職業だと思っている。もっとも高額で怪しげなものを売る胡散臭い薬局は別として、ごく普通の生活者なら買うことが出来るもので、自然治癒力を増し、自分の力でまだ病気を治すことが出来るようにして上げれるのは、「今まであった」薬局しかないと思う。暗黙のルール違反だから一切していないが、処方箋を持ってくる人にも本当はもっと早く回復してもらえるような武器や智恵は一杯持っている。  計算上牛窓には0.3軒の薬局が残っているべきらしい。視力検査ではないが1を目指して自然の恵みで病気を治すことが出来る薬局により近づけたいと思う。