高低差

 ある女性から来たメールの中で使われていた部分「・・・ 羨ましい見事な辞めっぷりです・・・」を僕は羨ましい見事な書きっぷりと捉えた。短い文章の中でその様がとても良く表されていて、光景が浮かぶようだった。巷の一人の女性の書きっぷりに比べて今の世で言うエライ奴らの○○っぷりの何と貧弱なことか。  原発事故の死者は一人もいないと言った奴が発言を撤回するだと。それですむ世界の人間の謝りっぷりの貧弱なこと。米軍に風俗を売り込んだ奴の言い逃れの軽さっぷり。アホノミクスで庶民から金持ちへ金をシフトする奴のはしゃぎっぷり。どいつもこいつも中身のない阿呆振りをさらけ出している。彼女の足元にも及ばない。  庶民ていいなとつくづく思う。肩肘張らずに身の丈で生きていけるから。こんな楽な生き方はない。およそ地雷を踏むのは、身の程知らずのうぬぼれからだ。身の丈がそもそもいたって低い僕らは、少しくらい踏み外しても高低差がないから傷つきようもない。どんなに頑張っても所詮僕らは些細なことの褒めっぷりくらいしか上手にはなれない。