予行演習

 10時頃普通に仕事をしていたのだが急に倦怠感が襲ってきた。いつものけだるさ程度ではなく、立っているのもしんどいくらいだった。2階に上がらせてもらって布団に横になってもしんどい。そのうち悪寒がしてきたから風邪をひいたのが分かったが、一瞬にして始まった風邪だから余りよいものではないと覚悟した。元気がつく薬と漢方薬、それに娘夫婦が作ってくれた新処方の風邪薬を飲んで、3時頃には楽になって下に降りて仕事を復活したが、その間、波のように押し寄せる倦怠感に不快だった。  もしこの様な倦怠感が数ヶ月続いたら、どれだけ不快だろうと思う。でも実際にその様な不調で困っている人はいるのだ。懸命に努力して手助けせよと諭されているような気がした。身をもって体験すれば困っている人の苦しみが実感として理解できる。年齢と共にその範囲がずいぶんと広がってきたが、出来れば遭遇したくないトラブルもこれからは列をなして襲ってくるだろう。  体調が良かったから、いや最悪ではなかったから、このところ自分でも結構やれるなと思っていたのだが、その様な過信の後には必ずこうなる。もう何度も経験して痛い目に遭っているのにどうも気づかない。一体何歳くらいの体力を基準にして自分で動いているのだろうと考えてしまうが、図々しくも20代の何でも出来た頃を基準にしてしまっているのだろうか。老いを認めたくない気持ちがどこかにあって、いつも躓いてしまう。 それにしても体調が悪かったらすぐに休ませてもらえる環境が整って救われた。初めて相談に来られた患者さんや、何回も来てくれている漢方の患者さんの薬も若夫婦で全部作ってくれた。いつかは完全にバトンタッチしないといけないが、こうした予行演習の機会が段々増えるのだろうか。出来ればしんどい理由ではなく楽しい理由で予行演習したいが、逆らえない筆頭には誰もかなわない。