扇風機

 瀬戸の夕凪で有名な町でも、時には心地よい風も吹く。今日はそう言った珍しい夏の1日だ。朝から風が吹いていたので、事務所の窓を開放した。するとスイッチを入れていないのに、窓際に置いてあったおもちゃのような扇風機が勢いよく回りだした。むき出しの羽で、指があたっても安全と言われるようなしろものだが、至近距離だと結構風が来るらしくて妻がパソコンの前でしばしば利用している。その扇風機がひとりでに回りだした。それも結構普通使っているのと同じくらいの勢いで。恐らく扇風機の前に行けば涼しいだろうなと思えるくらいの勢いだった。条件さえそろえば瀬戸内の町でもこの程度のことが出来るのだと思った。 本来的に風が少ない瀬戸内でこうだから、もっと風が吹くところで、叡智を集めれば電気など簡単に作れるだろう。温暖化が悪の権化のように喧伝する最悪の権化などなくてもこの国の電力が不足しないことなど明らかだ。それにしてもこれって犯罪ではないのかなあ。僕は不思議でかなわないのだ。10万人の土地や家屋、職業を奪い、100万人の癌の発病確率を上げ、1億人に不安を与えてどうして罰せられないのだろう。これ以上の犯罪は僕には戦争以外思いつかないのだけれど。もっとも戦争でも罰せられないことの方がほとんどだから、やるなら小さな犯罪より徹底して大きな犯罪ってことか。  おもちゃのような扇風機が、おもちゃのようなエライ奴らの良心を吹き飛ばす。