後付

 科学者というのは警鐘を鳴らすのかと思っていたが、どうやら安全を安売りするのも仕事のうちらしい。スポンサーには強い態度がとれないマスコミの情けなさも目に余るが、二つがスクラムを組んでこられると、今まで危険の代名詞みたいに思っていた物まで、心配する必要がないもののように思えてしまうからたいしたものだ。ところが僕らひねくれ者達は権威をそもそも信じない癖があるし、言われれば言われるほど反対を考えてしまう癖があるから、うさんくささをたやすく嗅ぎつけてしまう。おまけにいざ事があった場合にとれる手段が限られている一市民だから、前もって予想していてやっと対処できることくらいしかできないのだ。とっさに国外に逃げることも出来ないし、まして地球から脱出することも出来ない。  何十万人に被害を与え、何百万人に不便を与えて、これだけ謝らない人達を見たこともないし、揚げ足取りにうつつを抜かすマスコミも揚げ足一つとろうとしない。余程両者の関係がいいのだろうなと勘ぐってしまう。単なる勘ぐりかと思っていたら、そうではなくマスコミを普段から接待しているなんて話も聞くからなるほどなあと思う。これではちょっとした出来心で罪を犯しただけの人達が、まるで極悪人のような見せしめに合うのが納得がいかない。つくづく法律ではさばけない罪に逃げ込める力ある人達が羨ましい。庶民なら魔が差しただけのちょっとしたことまで法律で裁かれ、マスコミの餌食にされてしまうのに。  空気中に放出して飛散してしまえば健康被害はないらしいし、海に流して希釈させれば健康や生態系には影響ない・・・・誰のための何のための説明だろう。聞いていて少なくとも僕のためではないらしい。岡山県でもヨウ素が検出されている。危ないものを吸って食べて飲むほど勇気はない。元々健康でおれない条件は少なからず持っているのだから、これ以上安易に増やしたくはない。米ソの核実験競争の頃より断然少ない放射線量・・・何を意図してこんな言葉が出てくるのだろう。後付の理屈に良くみんな我慢しているなと思ってしまう。今日堂々と薬局の前に車を横付けしたおばちゃんに腹が立っているのに。