東北の地震を教訓に、薬局内の棚に使っていたガラス板を全部木製の物に変えることにした。調剤室は勿論、薬局の中にも沢山使っていて、質の悪いことに僕の手製だから、L型金物の上に安易に載せていただけなのだ。地震が来たらそれが飛んで凶器になると以前から妻に指摘されていたが、持ち前の不器用と、差し迫ったものがなかったので延ばし延ばしにしていた。さすがにあの恐怖を見せられたら重い腰も上げざるを得ない。ホームセンターに行き板とねじを買ってきた。 ねじを今まで買ったことが無くて、あまりの種類の多さに驚いたが、もう一つ驚いたことがある。そのあまりの安さなのだ。大きさや用途などを色々思案したあげく僕が買ったのは、82本も入っていて僅か315円のものだ。1本4円という事になるが、それで生産者は利益を得ているのだろうかと思ってしまう。ホームセンターの取り分、流通業者の取り分がかなりあるだろうから、生産者が手にするのは恐らくたいした額ではないだろう。中小企業で生産されたものだろうが、その価値から判断して申し訳ないような値段に思えた。  その逆のものが水だ。僕は水道水以外飲まないから水など買ったことがない。水は僕にとっては今も昔も出るもので買うものではない。ところが千葉にいる姉に頼まれて、又ついでに僕が漢方薬を送っている同じ県の女性に頼まれて、いわゆる売っている水を手配したのだが、恐らく500ccのものが200円位したと思う。どうして何処かで勝手に湧いているただの水があんな値段になるのだろう。すでに2人には送ったからどうでも良かったのだが、試みに立ち寄った店で水があるかと尋ねたらもう無いですと言われた。どうしても欲しいとは思わなかったから、ただそれだけの事だったが、何をもったいぶっているんだとしらけた気持ちで数軒の店を後にした。  未曾有の不幸で色々な価値観が問われるが、逆襲された自然には謙虚以外の対処法はない。