月末

 月末になるとセールスの人達はノルマに対し数字が足らなくなるのか、電話で注文を催促してくる。気心が知れている人や、普段新しい情報を持ってきてくれる人にはやはり情が動かされて少しの協力はするが、全く役にも立っていない人には、考慮すらしない。その辺りの判断基準は僕ははっきりしている。自分が困ったときにだけいい顔をするのは気に入らない。寧ろ困ったときにこそ潔いのが好きだ。何事にも徹した方がいい。さぼるのだったらさぼりまくって、僕の前に現れないのがいい。やる気がない人の応対は1分でも疲れてしまう。せっかくのこちらの気さえ奪われてしまう。そんなに気に余裕があるのではないのだから、奪わないで欲しい。  必要もないものを作り、あたかもそれが必要かのように洗脳し、消費させてきたのだから、気がついて我に返ったら買わなくなる。当たり前の判断力が、不況という名の下に蘇るならそれはそれでいいのではないか。浪費を煽られ、資源を無駄にし、大切なものが何かを考えさせる余裕も与えないくらい、せき立てられていた人達も、立ち止まる良い機会だ。贅沢三昧の世の中より、慎ましく暮らしている世の中の方が余程気持ちがいい。  日が暮れれば歩く人はいなくなる。時折家路を急ぐ車が通るだけだ。その時間には狸だって安心して道路を横断している。そんな夜に、地球も人間も静かに横たわる。