熱狂

 熱狂の果てで、爆弾に吹き飛ばされた人々。歓喜の陰で肉片と化した人々。遠く貧困の地でうつろな民衆。磨かれた言葉に酔う大衆。自国以外の事象に無知集団。欲望の権化。自由も民主主義も欲望の免罪符。殺人集団。  「後は心の持ちようだけ」と言い切った貴女の方を僕は信じる。テレビに映し出される群衆の熱狂を僕は信じない。自分と戦い、克服しつつある貴女の力と将来を信じる。敵は我がうちにあり。本当は誰も貴女に敵意なんか抱いていなかった。貴女が自分で作り出した仮想の敵意。体調を上げさえすれば、そんな邪念が次第に消えていくことを貴女は学んだ。出来ないことをゆっくりと、でも確実に克服した。出来ないことは挑戦すべきことになり、やがて出来たこと、出来ることに変わっていった。もう貴女は、はっきりと射程内に収めている。やがて完全な自由を、自分自身から、過去のトラウマからの自由を手にするだろう。貴女がふと漏らした決意を大切に心にとめて、羽ばたいて欲しい。  多くを望んでいない、大きなことをしようともしていない。ごく普通に、誰もが手に入れ、誰もがするであろうことをしてみたかっただけなのだ。もうこれでいくらでも取り返すことが出来る。失った以上に得ることが出来る。感情の機微や同情、慈しみまでが貴女の武器になる。  肩書き一つ持たず不平一つ言えなかった貴女を信じる。貴女の対極にいる人々の独善と欺瞞にうんざりしているから。