大山

 この辺りから大山(中国地方で一番高い山、鳥取県にある)まで車でどのくらいで往復できるのか知らないが、僕など県外と聞いただけで大儀になる。とても車を運転して行く気にはなれない。電車で行くか、観光バスが関の山だろう。ところが70歳代になった高齢の方達が、それも女性だけで車で往復するってのだからその気力体力好奇心に感服する。そのどれももっていない僕は、ただただ土産話に耳を傾け色付き始めた山々を想像するだけだ。  逆流性食道炎は嘗ては若い人のトラブルだと認識されていたと思うが、現在はそうとばかり言えなくなった。印象からすると若者、年長者、半々のような気がする。出過ぎた胃酸が食道を上がってくるのだが、余程の若者で余程不摂生をしない限り余りかえるほどの胃酸は出ないと思うのだが、その症状を今では高齢者が簡単に起こす。腰が曲がっている人は別として、ごく普通の高齢者でもその症状を起こす。ただただ若いのか、ストレスが一杯たまっているのか、焼き肉屋でビールを傾ける猛者なのか分からないが、いずれにしても若くて元気がいい。  切れる老人も多いと伝えられているが、胃が若いのに、気が若くても不思議ではない。悟りすぎて何にも淡泊な若者がいて、片や未完成な年輩者がいて何とも奇妙なバランスを保っている。どちらを見ても、教科書がなく手探りの時代だが、人の心に咲く花は目立たず香らず寄り添うように咲くのがいい。