どうしてこんなに涙が溢れるのだろう。特別オルガンが上手なわけでもなく、歌が上手なわけでもない。まして歌詞が韓国語だから意味は分からない。それなのに涙が溢れる。幸せなわけでもない、不幸なわけでもない。解決しない心配事はある。  赤ちゃんの泣き声がした。子供らが拙く聖書を読み上げる。若い母親や父親が、頭を垂れる。いつか通った道が蘇る。懸命に歩んだ道が蘇る。大河が流れゆく唄に聞こえた。僕の心配事を流し去ってくれるのではないかと感じた。望みを繋ぐ唄に聞こえた。  水銀柱が天を目指す。疲れた顔が日差しを避ける。唄は汗でぬれたTシャツを、折れたハンガーに拘束する。1週間分の元気下さい。消せない想いから解放できる妙薬を下さい。旋律の上で優雅に踊る明日を下さい。