個性

 僕がお世話になっているある会の停滞を打破するために、ふと思いついたことがある。薬局の経営と何ら変わらないのではと思ったのがきっかけで、具体的なアイデアがいくつか浮かんできた。浮かんできたアイデアを統合させれば一つの形になりそうだ。実現すればずいぶんと楽しいだろうなと思う。ただそれを実現しようとすると、かなりの労力を要する。スタッフ集めから始まって外部との交渉などすることは山ほどある。僕はカレンダー通りしか休みがないから時間をとられることは基本的には避けてきた。仕事に食い込むようなことは出来ない。自ずとサブのスタンスをとらざるを得なかった。今回もし僕がアイデアを発表すれば、言い出しっぺだから中心で事を進めていかなければならない。こんな事を思い出すと、なんだか気が萎えてくる。しかし、実現した暁のことを思えば、人の役に立てたと、大きな満足を得られるのだろうとも思う。この両極端の考え方の間で心が揺れる。  こんな状態を打破する僕の常套手段は、公言して後がない状態を作り出すことだ。口にいったん出してしまえば、なかなか後には引けない。過去はほとんどこれで乗り切ってきた。ただ、そんなことが出来るのも半年後も1年後も元気でいるという大前提があったからだ。残念ながら今はそれがない。だから、いろいろなことを頼まれても確かな返事は出来ないのだ。変更が利かないものは引き受けれない。  アイデアが煮詰まってから数人に漏らした。なんだかんだと言いながら、やはり追いつめてしまうのが僕なのだ。漏らしたすべての人が喜んでくれたから、近いうちに大風呂敷を広げようかと思っている。なかなか本質的な性格は変わらないものだ。変わらないところだけが大切な個性だと思っているが、とても重い背負いきれない個性もある。