ジャズ

 僕が仕事中にBGMとしてジャズをしばしばかけているのを若いあるセールスマンが気がついて数枚ジャズのCDをやいてきてくれた。昨日くれたのだが今日はその数枚を流しながら仕事をした。ジャズがわかるって言葉を耳にするが、その範疇で言うならさっぱり僕はわからない 。昔、テレビのコマーシャルで「テイクファイブ」が流れていたのを聴いて一瞬のうちに虜になった。それがジャズだとわかったのはその後だから、入門編にも及ばない。  薬の問屋さんのセールスは毎日やってくる。こんな小さな薬局でも処方箋薬の仕入れは結構あり毎日注文を出している。学校を出たてのような若いセールスに、薬について説明をしてもらうのも気の毒だ。どこの会社のセールスも何かのとっかかりを見つけて親しくなっていくのだが、彼は僕の音楽に照準を合わせたのだろう。それはそれでとても有効だと思う。今日少しだけ言葉を交わすことができたのがそれを証明している。  毎日、父親や母親くらいの年齢の医者や薬剤師と話をするのは大変だろうなと思う。僕だったら3日ともたない。30年前、少し職種は違うが1日で辞めた僕からすると尊敬に値する。我が子のような世代のセールスにも 、丁寧な言葉で礼を逸しないように心がけて応対しているが、そうでない医療機関も多いらしい。今の医療なんて彼らの献身的な行動力なくして成り立ってはいかないのに。患者をとってつけたように「患者様」などと呼ぶ一方で舌の乾かないうちに、若いセールスを奴隷のようにこき使う。どちらが本姓なのか、そんなもの簡単にわかる。強きに弱く、弱きに強い。一番つまらない人種と一緒にはなりたくない。