違和感

違和感を感じているのは僕だけなのだろうか。  最近は違和感を通りこして、不愉快になっている。どう見ても必要のない人間を数多く集めて、世間話程度の内容でテレビ番組を作っているのが目に付く。製作者の能力が下がっていて、よくその程度の番組を買ってくれるスポンサーがいるものだと感心するばかりだ。ほとんど見ることがないので、どうでもいいが、馬鹿面を下げて出ている人間が、笑う時に手をチンパンジーのようにたたく仕草が気になって仕方ない。いつから人が笑う時に手をたたき出したのだろう。余り見た事がない光景がしばしば繰り広げられるので、それが当たり前と思うのか、日常でも巷でしばしば目撃されるようになった。  そもそも、笑うと言うことは、力を抜くことだ。息を吸いながら笑うひとはいない。おそらく副交感神経支配ではないかと思う。戦闘モードの交感神経優位では笑えないと思う。寧ろ笑うことによって副交感神経支配に導くことが出来るのかもしれない。笑う時、すなわち力が抜ける時にわざわざ手をたたくことなんか有り得ない。手をたたくのはあくまで力をいれるときだ。気を抜きながら作業はしづらい。  僕はその動作を見るにつけ、心から笑っていないと感じる。さすがに顔を崩して笑っているが、それは職業の域を出ていないと思う。自分の気を抜いている時に、相手にもっと力めと拍手を送っているよなものだ。全身から力が抜ける時にまで、相手に気を使っているとしか言い様がない。ようは、本心から笑っていないということだ。笑いながら、相手に気を使っている、いや、相手の反応を探っているといった方が真実に近いかもしれない。笑うと言う自分の反応のまだその反応まで気になるのだろうか。せめて笑う時くらい、なにも考えずに全くの無防備になれないものなのか。いつも戦闘モードで怯えながら生きている現代人のひ弱さを垣間見るような気がしてならない。一瞬たりとも無防備になれない野生動物並の不思議な行動をこの高等動物が身につけ始めている。その行動が低俗なマスメディアを媒体に広く浸透しているからとても不愉快だ。