感想

薬局玄関真上の巣にいるツバメたちが大きくなり、巣から溢れそうなので、その下を通る人達によく見えるらしい。いや、それ以前に巣の下に敷いてある糞を受ける新聞紙で皆さん気がつくのかもしれない。今年のツバメは何故か大きく育っているのに巣立たない。大きい子供が体を寄せ合っている姿が愛らしいのか、人気がいい。見上げる人が多く「可愛い」を連発する。  そんな中で今日、偶然3人の女性が同じような感想をもらした。僕より上の世代の人ばかりだった。「人間もツバメを見習えばいいのに」と言う言葉だった。なるほど親ツバメは頻繁に飛び立ち、餌を取ってきては口移しに順番にえさをやる。あっという間に飛んで帰ってきて、あっと言う間に飛び立つ。朝早くから日が落ちるまで繰り返される。子ツバメ達は親が帰ってくるのがわかるらしく、その都度けたたましく鳴き、餌を我先にねだるが、見ていると公平に順番に餌をもらっている。かいがいしく世話をする親ツバメ達に過ぎ去った自分自身の子育て時代と姿を重ねているのだろうか。あるいは昨今の、本能が破壊されたような事件の報道の洪水の中で、孤立した世情が重たく沈殿していることを肌で感じているから、同じ感慨が吐露されたのだろうか。  それにしても、ツバメを見習わなけらばならない人間とは地に落ちたものだ。そうか、元々人間は地に落ちていたんだ。