山陰

 山陰の冬は、青空が覗かない。今日もどんよりとした雲が被い、わけもなく雨が降ってきた。雨が何故降るのか分からない。雨雲が押し寄せるわけではなく、あたりが突然暗くなるわけでもない。気まぐれに雨が落ち、気まぐれに雨が上がる。翻弄されながら、僕は甲のような山に登り、入り江に沈殿した日本海を見ていた。  卒業して初めての4連休だった。薬剤師として過ごさない4日間にしようと考えていたが、結局、調剤室を片付けた日もあり、処方箋の請求事務をした日もあった。今日、山陰にも3冊の薬学の雑誌を持っていった。行きは車、帰りは電車だったので、必ず読めると思っていた。2ヶ月くらい溜めていた雑誌だ。帰路の3時間の電車の中で読みきれた。  4日間で、心の中の堆積物をかなり捨てれた。これで又容量に空きが出来た。皆さんの苦しみを受け入れられるスペースが出来た。休むのはなれていないが、休んでよかったと思った。明日から又真摯に皆さんと向かい合える。  山陰の川は北に流れる。観念を打ち破り、心のしがらみを取り、身も心も解放されることを切に願っている。心も体も緩めば多くのトラブルが治る。逆に、現代人特有の戦いのモードを休息のモードにしなければなかなか病気は治らない。