青春前期

 何をそんなに急いでいい人になろうとするのだろう。いい人なんて何十年頑張ったってなれるものじゃない。死は確実に毎日1歩ずつ近づいてきてくれるのだから、迎えに行く必要はない。どうせ大した親に育てられていないのだから、聖人君子を目指す必要はない。ちょと幸せでちょっと不幸なら、起承転結皆経験して終わればいい。他人を壊すくらいなら自分を壊せばいい。どうせ大した自分ではないのだから、分解して善と悪を共存させればいい。何十年生きたって所詮不完全、毎日鏡の中の自分にうんざりする。曇天を心に抱えて歩めばいい。どうせ3日も記憶に残らない命だから。  何をそんなに急いでいい人になろうとするのだろう、その幼さで。欺瞞に満ちた大人達が幾つもの顔を使い分けて、あちこちで生きているではないか。羅針盤の針を振りきって、生きたいように生きればいい。所詮大したことのない大人達にか込まれているのだから。よりよく生きることを強制されるな。強制されたら胡散臭いと思え。よりよく生きることは、よりよく生きようと思ったときから始まるのだから。よりよく生きようと思うのは、とんでもない生き方をした後にしか思わないのだから。