女々しく

 元もとの性格なのか、男性的な女性と結婚したから仕方なくそうなったのか分からないが、母親をまさに演じている男がいる。決して女性的ではないのだが、子育てに限って細やかな愛情を示す男がいる。成人した子供の病気に関して、しばしば薬を取りにきて、事細かに説明を聞き、薬と養生法を持って帰る。帰宅後不安になって電話で確認を求めることもしばしば。母親と言わずになんて言おう。  男らしいって必要ない。男らしいが、力だけに突出するなら、そんなものいらない。男らしいがよその国を攻めていって、人を殺すなら、そんなものいらない。女々しいが人を傷つけないなら女々しくていい。女々しいが決してよその国を攻めていかないなら女々しくていい。勇ましい話しはうんざりだ。夕焼けを見て人生と重ねたり、星を見て歴史と重ねたり、罪を犯さないようにそっと、そっと暮らして行けたら、明日もまた静に目を覚ますことができる。