4日坊主

 およそ僕には黙々とと言う形容詞は似合わない。自分で一番の欠点は知っている。一つのことに打ちこめないので、一度に多くのものを並べ、それを細切れで片付けていく。それが僕のやり方で、結果的には、黙々とやったことと同じことは出来ると思う。  ただ、今夜で4日目の黙々が進行している。夕食後なんとウォーキングを始めたのだ。予想していた通り、この2ヶ月の付けが回ってきて、僕の体のあらゆる関節が悲鳴を上げている。胃も上げているかな。必死で漢方薬を飲んで食いとめているつもりだが、この体のゆがみはいかんともしがたい。このままずっと筋肉を拘縮させて不愉快な毎日を送りたくないと思った。そこで目の前の体育館の駐車場を何回も早足で回っているのだ。1週すると150歩くらいになる。まだ最初だから、1000歩からはじめ毎晩100歩ずつ増やしている。いずれは8000歩にしたいと思っている。  歩いていて、いや帰ってから思うのだが、歩いている途中ほとんどなにも考えないのだ。歩数をひたすら数え、100歩ずつ指を折るが、なにも考えないのはその為ではないと思う。街路灯も壊れて消えているようなところだから、足許も見えないような暗闇だ。自動販売機の明かりが頼りみたいな暗さだ。だから足許を懸命に見ているだけで、それ以外はなにも目に入らないのだ。人間の情報は視覚から大部分が入ってくる。その視覚からほとんど情報が入ってこなければ、なにも考えないのだ。足の筋肉、腰、腕、出来れば首の筋肉も落とすのを遅らせたいが、それと同価値の「無心」と言う境地を体験できそうだ。これは僕には、とてつもなく大きな価値がある贈り物かもしれない。