コーヒー浣腸?

 県外ナンバーの車から降りて薬局に入って来られた方が、コーヒーの浣腸を下さいと言われた。コーヒーと浣腸とが別々の物と思ったので聞き返すと、コーヒーでできた浣腸をくださいと繰り返された。突拍子もないことを言われたので尋ねてみると、本に出ていて便秘によいとのことだった。本に出ていたら何でも正しいのかと言うと、寧ろその逆で、本に出ているからこそ疑わしいことが多い。実際に摘発されることも多い。空気を嫌うところ(内臓)に、コーヒーや空気を毎日入れるべきでないと説明したら、意外と簡単に理解してくれて、それではということになり相談してくれた。  要は立派な便秘なのだ。数年前までは薬局で下剤を買って飲んでいた。その後でなくなったので、病院で下剤をもらって飲んでいる。先生は安全な薬だから気にせずに飲んで下さいとのことだ。プルゼニドを4錠毎日飲んでいるらしい。安全な薬とは、さすがにそれで致死的な副作用は永久には起こさないだろう。しかし、毎日下剤を飲まなければ催してこないのが正常といえるのかどうか。先生の言う安全と、患者さんの安全は違う。  僕はその女性に言った。貴女は関西からわざわざ牛窓みたいなのんびりとした田舎を夫婦で選んでやってきた。都会に行かずにその逆のコースを選んだ。と言うことは、貴女は日常に緊張を抱えていて、いつも戦いのモ-ドだ。だから貴女の心が緊張しているように、貴女のおなかも緊張しまくっている。だから僕は貴女が今まで服用したおなかを痙攣させて便を出すような薬は作りたくない。寧ろ貴女の心もおなかもほぐすような漢方薬を作りたいと説明した。そして、1週間だけ作って試してみようと提案したら、快く受け入れてくれた。  途中からお互い冗談も言えるように和やかになって気持ちのよい時間を過ごした。たまにこのように観光客との心地よい出会いがある。そしてこれが縁で、その人の以後の健康生活に多くの貢献が出来ることもある。今回もそのような結果を望むけれどさてどうだろう。なにでも、以前岐阜県の有名な漢方薬局ですごく高い便秘薬を買って全く効果がなかったと、漢方には否定的だったから、ここで僕が一念発起して漢方薬に対して誤解をとっておかなければならない。牛窓においては、漢方薬は早く効いてそんなに高い物ではない。1週間か2週間で効果は現れる。治れば止める。再発すれば又始める。これが常識だ。都会の有名な薬局の常識とはエライ違う。  効果があったら連絡をくれるそうだ。効果がなかったら首を絞めに来て下さいといっておいた。