無知の知

 僕が毎週見舞っているその人の主治医が、その人に10歳から15歳若いですねと言ってくれたそうだ。そのことをお嬢さんが今日教えてくれた。医者が驚いているそうだ。もう80歳に手が届くかどうかくらいだから、60歳代半ばということになる。抗がん剤を3クール打って、髪は抜けたけれど、数日の食欲がなくなることを凌げば、又体重も復活する。僕は毎回体重を尋ねるが、3kg戻っているらしい。見舞っている間、ほとんどその人が喋る。生来の明るさでどちらが病人かと言うくらいだ。1ヶ月前の検査で腫瘍が7cmから3cmに小さくなったらしい。抗がん剤がよく効いているのだろう。入院が決まった時、主治医は健康食品などを勝手に飲まないように言ったらしい。その方は身の周りに僕の漢方薬を飲んでいる人がいたので、迷わず僕に依頼してくれた。返しきれない恩がある人なので僕は言われなくてもお世話をするが。僕は抗がん剤にまけない体を維持することを目標に2種類の漢方薬を飲んでもらっている。その漢方薬を飲むと抗がん剤を点滴した後の食欲の復活が早いと言っていた。ガン患者さんでも太れば希望があるのだ。薬局がガンの治療の前線に立つことなんか有り得ない。ガンをうたい文句にしている薬局には入ってはいけないと思う。身のほど知らずの無知の知を地で行っているようなものだから。まして健康食品をや。僕らに出来ることは、現代医学が到達した最高の医療を受けることが出来る体になってもらうことだと思っている。今朝もらった電話で今日は1日中気分がよかった。役に立てると言うことはとてもうれしいのだ。こんな仕事をしていたら。