給油

 特別期待していたわけではないが、それでも綺麗にしてくれるとあり難い。その上、少しばかりの知識もくれた。機械音痴ばかりではなく、こうした親切に触れるから僕は従来どおりの人の手による給油を利用している。どちらが安いのか知らないが、安さは僕にとっての判断基準には何も影響しない。
 2週間くらい前から気がついていた。駐車する場所を日に当たりにくいところに変えてから、ツバメの糞が幾つも車についていた。特に目立ったのが助手席のサイドミラーと、リアウインドウのワイパーのところだ。どちらも当然乾燥して固まっていて、運転中に風で落ちたりしない。サイドミラーもワイパーも十分機能しているから一向に気にならなかったが、助手席に乗ったかの国の女性が、運転中に僕に見てみろとばかり何度も指差した。彼女達は気になったのだろう。
 この土曜日に給油に立ち寄ったときに店主とその弟が、いつものように給油中に車のガラス部分を掃除してくれた。当然?ツバメの糞を見つけ、わざわざ雑巾を水で濡らしてふき取ってくれた。そしてお金を払うときに、鳥の糞を長い時間放置していると塗装が変色すると教えてくれた。「鶯の糞は化粧品になるんでしょう。あれと同じ理屈です」と教えてくれたが僕は初耳だった。しかし、何となく説得力があり妙に納得した。実害さえなければ気にならないタイプだが、頂いた知識はいかさなくてはならない。これからは、糞を見つけたらすぐに洗い落とすと伝えた。こういった店主の話こそ「ウンチくのある話」と言う。