可視化

 総じて運送会社の人は体格がいい。もっとも僕みたいなひ弱な人間では重い荷物を運ぶことが出来ないから当然といえば当然なのだが。僕の薬局には毎朝漢方問屋から漢方薬が送られてくる。ほとんどお決まりの運送会社だから皆さん顔なじみになる。だからそんなことを言っていいのと言いたくなるような言葉もつい口から出てしまう。ただ、悪意はないから僕は気にならないし、結構地域の情報が手に入ったりする。
 今朝の、「そんなこと言っていい」のは「今日は花ばっかりで大変じゃ!すごい数」と言った。一瞬ピンと来なかったが母の日のお祝いに贈られる花の事だった。そうか、巷ではそうした祝う気持ちが氾濫しているのかと意外だった。我が家にも届いたことはある。今年は分からない。僕はタッチしていなかったから分からないが、僕の母に何かしらの祝いをしていたのだろうか。母と呼べる人は一人しかいないから、妻が丁寧に毎年プレゼントを渡していてくれたのだろうか。
 百貨店やスーパーの売り上げに貢献するように仕向けられるのは腹立たしいが、見えない無上の愛を可視化してくれる機会と思えばいくばくかの出費をいとう者はいないだろう。