品位

2014年度の海外旅行保険事故概況(ジェイアイ傷害火災保険調べ)によれば、事故発生率は3.53%(約28人に1人)に上り、その半数が治療・救援費用であること。また、最近、海外旅行先でシニアの事故が増加していると報告した(65歳以上と65歳未満では重症事故発生は65歳以上が約6倍)。そして、シニア旅行者が、旅先で入院など加療をした場合、治療費だけでなく、医療通訳や搬送費など費用がかさむことを指摘。たとえばシニア旅行者が、北米で肺炎に罹患し、約50日間入院・手術した場合、支払保険金額が約9,330万円に上った高額事例を紹介した。シニア旅行者の事故原因は、転倒による外傷のほか、脳疾患、心疾患、肺炎が多く、高額保険金支払い上位5つのうち、4つまでがシニア旅行者であり、原因疾患も肺炎だったと報告した。

世界一周クルーズの旅に出かけていた姉夫婦が、1ヶ月で帰ってきた。特別養護老人ホームで暮らしている母の思いが届いたのか、半年の計画を1ヶ月で終えて帰ってきた。ただ、実際には旅先で義兄が病気になり手術を受けたのだから、母の想いとは違う。一時危ないといわれていた母が俄然元気になったのは、姉が帰国するのを懸命に待っていたからだと思いたいが、小説のようにお涙ちょうだいではなく母が持っている生命力の賜物だ。何はともあれ母にとっては朗報だ。又娘に会えるのだから。姉にとっても同じことが言える。生きている母親に会えるのだから。  丁度そんなことを思っているときに上記の文章を見つけた。薬局に送られてくる情報誌の中に載っていた。文章の主旨は、外国で一番罹患しやすい肺炎の予防接種を受けるようにというものだが、外国に行ったことがない僕には縁のない話で、従来なら目を通さないと思うが、余りにもタイムリーだったので興味深く読んだ。そして姉達の治療費はどうだったのだろうと心配にもなった。ただ昨日電話で話した時に、その話題が出なかったのでほっとした。  アメリカで盲腸の手術をして200万円と言う話は聞いた事があるが、わずか50日の入院や手術で年末ジャンボとはあきれて物が言えない。色々と不快なことが多いこの国だがいいことも沢山ある。話が飛躍してしまうが、溢れる物ではなく、そうした価値観に親しみや尊敬を持って来日する外国の人間だけを受け入れるべきだ。安い労働力や暴買いなどと品のない次元にいずれ足をすくわれる。一度足をすくわれたら回復は不可能だ。そのためには、人道と言う言葉が全うできる品位が僕らの側にも大切だ。