なんとなくここ男性は、かつては相当社会で活躍していたのだろうなと想像がついた。４回目の今日来られた時奥さんに尋ねてみたら実際にそうだった。
何がきっかけでそうなったのか分からないが、この３年間心療内科でうつの治療を受けている。それでも改善することなく、顔の表情はなく、こちらの言うこともあまり聞けない？理解できない風だった。痴呆を想像させるがそれはないと家族が言っていた。無気力を絵にかいたような状態だが、かつてを知っている家族にとっては悲しい現実だ。
僕が一番改善させたいと思ったのは無気力だ。不眠とか便秘とか持っているが本丸は無気力だ。２週間分ずつ今まで３回漢方薬を渡しているが、１回目でお通じが毎日あるようになり、２回目で不眠が改善し、３回目で料理を自分で始めたそうだ。奥さんがもしものことがあったらと料理を勧めていたが、今まで関心を示さなかったのが、簡単な昼ご飯を自分で作り始めたらしい。そして４回目の今日、本を読み始めたらしい。本来は読書家なのにこの３年間、本を手に取ることはなかった。それが奥さんが部屋をのぞいてみると本を読んでいたらしいのだ。「やる気ムンムンの薬」と僕は勝手に名付けて、やる気が出てこない老いも若きもすべての悩める人に出しているが、まさに奏功してくれた。
そして今日、一人で薬局にやって来た奥さんが開口一番、言った言葉は「何も変わらないんですが、漢方薬はゆっくりしか効かないんですか？」心療内科で３年間悪化し続けて僕のところに来たのに、そしてこれだけ４５日で改善しているのに「変化がない」
僕が「やる気ムンムン」飲みたいわ。
