証明

 近年、緑豊かな自然の中で過ごすことがメンタルヘルスに良い影響を与えることを示した研究が増えつつある。しかし、海の近くに住むことも精神的な癒しになる可能性が新たな研究により示された。研究を率いた英エクセター大学医学部のJo Garrett氏は、「イングランドの海に近い都市部に住む貧困層では、精神疾患の症状に悩まされている人が少ないことが、この研究により初めて示された。メンタルヘルスという観点では、海の近くという“保護作用のある”地域に住むことで、高所得者低所得者の間の健康格差がなくなる可能性がある」と述べている。
不安やうつといった精神疾患を発症するリスクが高い人の割合は、イングランドの海岸部から50km以上離れた場所に住んでいる人に比べ、0~1kmの距離に住んでいる人で有意に低いことが分かった。また、海までの近さと精神疾患発症リスクの低さとのこうした関連がみられたのは、研究参加者を世帯収入に応じて5つのグループに分けたうち、最も収入が低いグループに属する、海から5km以内の場所に住んでいる人のみであった。
 こうした結果を受け、Garrett氏らは「“ブルースペース”(海岸や川、湖といった水性環境)、特に海岸部と健康およびウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)とのポジティブな関係は、社会経済的に恵まれない人において強くみられることを示すエビデンスは増えつつあるが、今回の研究結果も新たなエビデンスとしてそこに加えられるものだ」と述べている。

 海までの距離が1km未満。最も収入が低いグループ。この人たちが海からの精神的な恩恵を一番強く受けているらしい。となると僕など一番に恩恵を受けている部類だ。高校と大学時代、浪人と留年をあわせると9年間だけ牛窓を離れた。後はずっと牛窓、それも幼い時の30m、現在の100mとかなり海の近くで暮らし続けてきているから、恩恵を受けっぱなしだ。不安はそれぞれの時期にこれでもかこれでもかと襲ってきたが、心の病気まではならなかった。忙しすぎて欝にもなりそうだったが、ウツウツの段階ですんだ。自律神経もかき乱されたり、緊張の継続を余儀なくされたが、体の苦痛ですんでいる。筋肉の硬直ですんで、心まで硬直せずにすんでいる。
 都市で暮らし、経済的に恵まれていない方はぜひ牛窓にどうぞ。漁師も後継者がいないから、船ごと譲ってもらったらいい。海の上で窮屈な人間関係から解放されて働くのは心にはとてもいい。ストレスのほとんどを占めているのは人間関係だろうから、田舎の人たちの不器用な人情に包まれ、海に癒されるがいい。医学が証明してくれたのだから。