阿波踊り

 丸亀お城祭りに毎年足を運ぶようになったのは和太古合戦があるからだ。四国の和太鼓のチームが集まり野外広場で数時間演奏が続く。天守閣を背景にして行われる和太鼓の演奏は勇壮だ。打ち手の心意気が伝わってくる。ところが今年はそれがなかった。理由は知らないが僕にとっては大きな痛手だった。和太鼓が丸亀を訪ねる動機のほぼ100%を占めている僕にはショックだった。  ところがパンフレットを調べているうちに、和太鼓の代わりに大道芸が行われることがわかった。その変更は僕には耐えられる。一緒に連れて行く予定だったかの国の女性にもいいのではないかと思った。案の定、大道芸の他に若者の踊りや、四国に伝わる獅子舞が集合していて、それらが同時に進行するのは圧巻だった。だから彼女達は連休の中の一日を堪能してくれたと思う。  僕の感動はちょっと違う。本物の阿波踊りをまじめに至近距離から見ることが出来たことだ。覚えておけばよかったと今後悔しているが、踊りの先頭にちょうちんを持っている人がいて、そのちょうちんに〇〇〇連と書いてあった。ひがし連と書いてあったような気もする。と言うことは想像だが、踊りの最小単位が連と言うものではないかと想像した。そしてその連の踊り子といえば、やっとオムツが取れたような子供から僕より年上の女性ではないかと思うような人もいる。いやいやちょうちんを掲げていた男性は80歳を回っているかもしれない。  至近距離で踊りも見せて頂いたが、こんなに激しい動きをするのかと言う点と、てんでばらばらに手を振っているだけだと思ったが、結構統制が取れていることに気がついた。そしてとにかくハードた。そして一人ひとりの技量が全く違う。中心で踊っていた男性と幼い男の子には特に魅せられた。  また太鼓も面白い。舞台でやるのと同じくらい激しく早く打たれていたが、その打つ速さがすさましい。また大太鼓を体の前に支え打つのだが、普通撥を上にして打つが、阿波踊りは違う。皆が下から上に向かって叩く。こっけいでいてその場の雰囲気を一気に持ち上げてくれた。僕はなんとなしにリズムに誘われ、至近距離から見させていただいたのだが、こんなに阿波踊りが奥深いものだとは思わなかった。目をつむればそのチームのすべてを思い出すことが出来る。  どうして阿波踊りくらいのことをわざわざ国中から見にいくのか分からなかったが、その奥深さを見せていただいたので納得。