どちらも一円もお金を払っていないから文句を言えた筋合いではないが、天国から地獄だ。折角喜んでいたのに、その音を聞くたびに気分が悪くなりストレスだ。  僕は価値を知らなかったが、下さった税理士の先生によるとあの大きなプラズマテレビは50万円以上したらしい。我が家のテレビの悲惨さを目撃した先生が、新しいテレビを買ったときに下さった。リビングに置いて遠くから見ても十分楽しめる広い画面と音量を楽しんでいたが、つい最近壊れた。電気屋さんに頼んでも部品がないから直らないと言われた。そこで急に救世主のように現れたのが帰国するかの国の女性だ、なんでも、会社主催のパーティーの余興でテレビを当てたそうだ。ただ国に持って帰れないので躊躇することなくくれた。なんて欲のない人間だと感心していたが、昨日そのテレビをセッティングして初めて、期待しすぎだったことが分かった。小さな画面のテレビなのだが、映像もなるほどくれるだけのものはあると思えたが、音はかなりの忍耐がないと聴けたものではなかった。  僕はテレビを、わずか2mくらい離れて見ているのに、音は数十メートル先から聞こえているように感じた。こもった音で音量を上げても何を喋っているのか聞き取りにくい。妻はお風呂の中で喋っているような音で聞こえると言った。例えは妻の方が数段旨い。なるほどと思える例えだ。片手で持ち運び出来るようなテレビだから、各部品のレベルは推して図るべきだから、スピーカーもおもちゃくらいのものが入っているのだろう。ただ、距離感が全くないあの音には耐えられない。テレビ離れするいいチャンスかもしれない。所詮ニュースと再再再再・・・放送の水戸黄門しか見ないのだからテレビもどきでいいのかもしれない。あまりにもちゃちなので、どこの国で出来ているのか確かめると、やはり軍拡華々しい国の製品だった。自分で金を出していなくて良かった。僕が払ったお金が、かの国の指導者や庶民の横柄な態度の維持に役立つのなら耐え難いから。