手先

 「おぬしも悪よのう」と悪代官が賄賂を持ってきた人間に吐く決まり文句を、週刊誌に吐かれた奴がいる。役人との口利きで賄賂をもらったそうだが、岡山弁で言うと「そりゃあ、甘利じゃろう」  よくもそんな奴にTPPなどを任せると思うが、そんな奴だからうってつけなのだ。本当に零細な人間達を守ろうとする人に出来る役割ではない。大企業の収益だけを考えるよほど無神経な人間でないと出来ない。いずれこの国がもっと落ちて行った時に、あの時のと追及できる人間がいるのかどうか。三権の全てをお友達で占めている世の中で、なかなかそれは出来ないだろう。  田舎に住んでいて、ひたすら頼ってきてくれる人達の役に立つことばかりに励んでいればいいはずなのに、やたらこうした不快感に悩まされる。薬局が困りごとの解決を生業にしているからだろうと思う。あまり幸せ過ぎる人は来ないところだから、おのずと困りごとの解決方法を探し続けるところになってしまう。正義感とか道徳とか言うものではなく、ほとんど反射だ。だから反射的に今の政治の中枢にいて庶民を省みない奴らが不愉快で仕方ないのだ。  市民が細部にわたって困っている人達を救っている。知識不足で、僕らが知らないくらいの沢山の人達がそういった活動を続けているのだろう。公がむしろ欲望の手先に成り下がっているのとは対照的だ。10年に一度の寒波が予想されている。人の世は10年変わらず寒波だ。多くの人が身も心も凍らせている。