牡蠣

 クリスマスを一人ぼっちで過ごすことをクリボッチというのをこの冬はじめて知ったが、大晦日を一人で過ごす人をどう呼ぶのだろう。ミソボッチ?正月を一人で過ごす人はショウボッチ?  僕はたとえ家族がいても、多くの人がボッチではないかと思う。ボッチが必ずしも否定的な意味だけを持っているのではなく、家族とレベルが合わなければこれもまたボッチだ。  今日何人かのウツウツ患者を応対した。どの人もウツウツの原因は配偶者だ。配偶者がいても実際はボッチで、助けにはなっていない。何人かに「別れたら」と提案したが、実際の行動にはなかなか出られないらしい。僕はこうした相談のときに声をひそめない。堂々と大きな声で相談に乗る。声をひそめる患者さんもいるが、そのうち堂々と話し出す。薬局に他の人がいてもお構い無しだ。悪いことをしているのでもなく、隠すことでもなく、日本中で無数のおなじような出来事が同時進行しているのだから、遠慮する必要はない。むしろつくろったりせずに堂々と笑い飛ばして自虐ネタにするのがいい。そもそも相談に来ている人は被害者だから、家にいる配偶者のほうが漢方薬を飲むべきなのだ。「アンタのじゃなくて、相手の漢方薬を作ってあげようか」と言うと、たいていの人に受ける。  今日、殻付の牡蠣をバケツ一杯頂いた。子供達は今日から休みでいないし、妻は食べないしで、1人で頑張って食べ続けた。あまりにたくさんあるのでご飯は食べないようにした。妻は焼いてくれるのに付きっ切りで他のおかずを作る暇がなかった。そのせいで僕はひたすら牡蠣を食べ続けた。こういう食事を最近はカキボッチと言うらしい。