健康

 健康体の人は、身体の部位を意識することはない。足も手も、頭も肩も、お腹もお尻も意識することはない。健康体の人には身体はないのだ。ところが体調を崩すと、途端に身体の部位が存在を強調してくる。頭痛がすれば頭を、胃痛がすればお腹を、動悸がすれば心臓を、筋肉が衰えれば関節を、眠れなければ心を。  この国を意識せずに、ひたすら働いていればよかった健康な時代は過ぎた。毎日のようにどこかが痛む。その痛みようも歯痛や頭痛の程度ではない。モルヒネを使わなければ消えないような激痛に、この国のあちこちが見舞われている。ガンに匹敵する痛みを国民がさまざまな分野で強いられている。正にガンみたいな男と政権と与党と思しき奴等に。