拍手

 今日で3週続けて四国に渡ったことになる。今日を含めて丸亀が2度、高松が1度だ。今日の丸亀は陸上自衛隊第14音楽隊のコンサートで、僕は去年に続いて2度目だ。今回は僕の2女3女を連れて行った。2人はもっとも親しいかの国の女性で、アルバイトのせいで日曜日は一緒に行動できないから、祭日のイベントは全てこの二人を優先している。余談だが、息子は今日鳴門、娘夫婦は淡路島に行っていたらしい。3組がそれぞれの所に行っているのだが、えらい近いところをウロウロしていたことになる。誰も何処に行くと口にしないから結果論でしか分からない。何ともドライな家族関係だ。  かの国の女性たちは、何でバイオリンなどがないのと、ブラスバンドとオーケストラの違いに戸惑っていたみたいだ。二人とも知的好奇心が強いから、すぐに気がつく。道中も日本語学校かと言うくらい質問攻めにあった。僕は日本語を教えるのが上手いとかの国の人たちには定評がある。身振り手振りで意思を伝えようとする気持ちが強いからだと思う。僕のように英語が出来ない屈辱感を彼女達には味わって欲しくないという親心からだろう。  全部で10曲演奏をしてもらったが、断トツ受けたのは、ジョンレノンの「イマジン」だった。曲名紹介時点で僕が拍手の口火を切ったらすぐに会場中から拍手は上がった。それまでも力強い拍手を送っていたが、どこか儀礼的だった。あの拍手で、少し会場が和んだのか、サクソフォーンのソロには大きな拍手が自然に沸きあがった。  それよりも驚いたのは、イマジンを選曲した理由を司会者が語ったのだが、ジョンレノンが世界から戦争をなくし平和に暮らそうと訴えていることを高く評価していた。普通の視点からすると、自衛隊員は好戦的な人間の集まりかと思うが、そんなことはないんだと思った。彼らこそひょっとしたら、殺し殺されることの無意味さを知っているのかもしれない。「国を守る」と言われる時の国とは、アホノミクスのお友達連中(企業家)のことで、国土でも庶民の命でもないことは明らかだ。  サクソフォーンの澄み切った音色が聴衆を魅了し、楽器を操る自衛隊員が、工業製品の輸出と引き換えに全く関係のない戦に追いやられ命を失ったりすることがないようにと真剣に思えるようになった。そんな良き一日だった。